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2016年度若手研究者育成プロジェクト 最終報告会を実施しました(@ストックホルム大学)

2017.03.09



 

学校教育高度化センターでは、若手研究者の支援を目的として、教育学研究科博士課程の大学院生を対象に年1回研究プロジェクトを公募の形で募集し、多様な観点からの研究の実施を支援しています。今年度は「多様性をはぐくむ教育」をテーマとして、8つのプロジェクトへ研究助成を行っています。

2月23日にスウェーデンのストックホルム大学にて、東京大学・ストックホルム大学・ユバスキュラ大学3大学主催の国際シンポジウム「Joint International Seminar Education for Diversity」を開催しました。2015年から教育学研究科が学術交流協定を結んでいるストックホルム大学教育学部に加え、今年度からユバスキュラ大学教育学部も加わり、多くの教員・学生の参加がありました。院生プロジェクトからは4チームが参加し研究プロジェクトの最終報告を行いました。なお、本研修は国際交流「グローバル・リーダー育成、スウェーデン研修プログラム」と合同で実施されました。

各分科会では、インクルーシブ教育、多言語教育、教師教育などの共通の研究関心を持つ学生の間で活発な議論が交わされました。院生プロジェクトの学生の多くは初めて海外の学会発表を経験しました。また、ストックホルム大学、ユバスキュラ大学からは英語を母国語としない留学生が多数いたこともあり、多様な文化・社会背景を持つ学生の発表を聞き、交流する貴重な体験となりました。

以下は研修に参加した、楠見友輔さん(学校教育高度化専攻教職開発コース博士課程1年)の体験談です。

海外での研究発表は初めての経験で, 上手くコミュニケーションや質疑応答ができるかという不安がありました。しかし「多様性を育む教育(Education for Diversity)」というプログラムのテーマや福祉制度の進んだ北欧における研修は, インクルーシブ教育を専門とする私にとって非常に魅力的であり, 思い切って今回のプログラムへの参加を決意しました。研究発表では, スウェーデンやフィンランドのみならず, カナダ, アルメニア, ウクライナ, ギリシャ等の様々な国からの学生と議論を行うことができました。様々な国の学生と議論や交流を行った経験は, 今後国際的な場において研究や議論を行う自信に繋がりました。 私にとって特に有意義であったのは, 各国の教育システムがその国の文化や政治的背景の上に成立していることを実感できたこと, また日本における教育研究の結果を海外に向けて発信することの重要性に気づくことができたことです。私のグループでは様々な国からの発表者の間で各国のインクルーシブ教育の動向や考えについての議論が行われました。私も日本のインクルーシブ教育の動向や意義を話しましたが, 発表後や帰国後に, 私の発表を聞いた何人かの学生から, 私の研究や日本のインクルーシブ教育についてもっと知りたいという連絡を頂きました。本プログラムの経験や得られた繋がりをもとに, 今後は自分の研究を国際的な文脈に位置付け, 発信していきたいと考えています。

なお、スウェーデン研修(2月22日~24日)においては研究発表のみならず、大学や学校生活紹介が行われ、3大学の学生が一緒に市内の文化的施設や小・中学校訪問も行いました。学校では授業も見学させていただき、スウェーデンの学校の多言語・多文化の環境を目の当たりにすることができ、刺激を受けた様子でした。また美しいストックホルムの街をストックホルム大学の学生が案内してくれ、3大学の学生の交流が一層深まり、お互いの研究内容や学生生活について話合う機会もあったようです。今回の研究成果は、当センターのワーキングペーパーとして公開される予定です。今後この研修での経験を生かして、海外の学会での発表、学会誌への論文投稿へとつなげていってほしいと思います。

(文責:学校教育高度化専攻教職開発コース博士課程1年 楠見友輔、学校教育高度化センター特任研究員 草彅佳奈子)