学校現場・民間企業と連携し、探究学習の質向上に向けた知見を発信
東京大学大学院教育学研究科附属 学校教育高度化・効果検証センター(CASEER)と、株式会社教育と探求社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:宮地 勘司、以下「教育と探求社」)は、中学校・高等学校における探究学習の実態と、生徒の学びや意識への影響を把握する共同研究を、2025年11月1日より開始しました。
本研究では、特に民間企業と連携した探究学習プログラムに着目し、調査設計、実施、分析を行い、得られた知見を報告書等で公表していきます。CASEERの学術的知見と、教育と探求社が20年以上にわたり学校現場と共に積み重ねてきた実践知を掛け合わせ、探究学習の質向上に向けた示唆を整理します。
背景
探究学習は全国の中学校・高等学校で広がり、実践も多様化しています。一方で、「どのような取り組みが、どのような学びにつながっているのか」を、学校現場のリアルに即して捉え直し、共有していくことの重要性が高まっています。
教育と探求社は、企業・自治体・教育機関と連携しながら、探究型学習プログラム「クエストエデュケーション」などを通じて、生徒の探究的な学びを支援してきました。これらの実践を土台に、今年度は20校を対象に調査を実施し、来年度以降はさらに拡大する予定です。
CASEERは、学校教育の高度化と教育効果の検証を目的に、教育実践の調査研究と発信に取り組む研究センターです。これまで東京大学教育学部附属中等教育学校と連携したパネル調査等を通じて、探究的な学びを含む教育実践の可視化にも取り組んできました。
今回の共同研究では、両者の知見を結集し、探究学習の実態と効果を多角的に明らかにすることを目指します。また、将来的には調査項目を継続して用いることで、教育効果の検討につながる可能性も見据えています。
共同研究の概要
研究テーマ:中学・高等学校における探究学習に関する実態及び効果に関する研究
(民間企業と連携した探究学習プログラムに着目)
研究内容:調査設計/調査実施/分析/成果公表
調査規模(予定):今年度20校
研究体制
研究担当教員(CASEER):本田 由紀(東京大学大学院教育学研究科 教授/CASEER センター長)
教育現場における探究学習の実状はきわめて多様であり、その実態把握も必要とされています。同時に、探究学習への取り組みに対して消極的な学校・教員・生徒も一定の割合で存在することから、「なぜ探究学習をやるのか」「探究学習にはどんな意義や効果があるのか」についてデータに基づいて示していくことも必要です。
今回の調査研究は特定の探究学習プログラムに焦点化したものではありますが、探究学習の内容・方法を統制(コントロール)した上で、多数の学校・生徒から分析にとって十分な規模のデータを収集し、個々の生徒の取り組み方、教員の指導のあり方や生徒のチームの様子が、学習後の生徒の効果認識や自己認識とどのように関連しているかを明らかにしようとするものであり、探究学習に関する重要な知見の一つにつながるものと考えております。
民間機関側 共同研究者代表:福島 創太(株式会社教育と探求社 開発部マネージャー)
探究学習は全国に広がりを見せていますが、その実践がどのようなプロセスを経て、生徒の学びや意識の変容につながっていくのかについては、十分に検証され、共有されてきたとは言えません。本研究では、教育と探求社が学校現場とともに積み重ねてきた探究学習の実践を対象に、CASEERの専門的な調査設計と分析の枠組みを掛け合わせ、実態と効果を実証的に捉え直していきます。その中から、生徒一人ひとりの取り組み方や、先生の関わり方、学習の進め方といった要素が、どのように生徒の学びの実感や自己認識と結びついているのかを丁寧に読み解き、探究学習の質を高めていくための手がかりを見出していけたらと思います。
実践と研究が相互に往還することで探究学習の姿をより立体的に描き出し、その成果を教育現場と社会の双方にとって共有可能な知見として発信していく、その積み重ねが、探究学習の質を次の段階へと押し上げていく基盤になると考えています。
共同研究パートナー 組織概要
■株式会社 教育と探求社
所在地:〒102-0081 東京都千代田区四番町4-9 東越伯鷹ビル6F
設立:2004年11月
代表者:代表取締役社長 宮地 勘司
事業内容:
中学・高等学校向け探究学習プログラム「クエストエデュケーション」をはじめとする、探究学習・人材育成プログラムの企画開発・制作・販売および研修事業 等
問い合わせ先
学校教育高度化・効果検証センター
メールアドレス:c-kodoka(アットマーク)p.u-tokyo.ac.jp


